結論から言うと、殆どの法医学者が“大学院”で研究について本格的に学び始めていると思います。
もちろんピペットの扱い方や器具の洗浄法、顕微鏡の使い方みたいな“初歩の初歩”は中学生や高校生の頃に学んでいるとは思いますけどね。笑
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法医学者になるには、基本的には医師免許取得後ないし研修医修了後に大学院・博士課程へ進むことになります。
6年制大学の出身者は、易々と博士課程に入学しちゃいますが、そうは言っても博士号は日本における最高学位です。
学位取得はそんなに甘くはありません。
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博士号を貰える基準としては、ざっくりと「その分野で新発見をする」というイメージで良いかと思います。
もちろん「新発見」と言っても、学術的・アカデミックな(つまり国際誌に載るような)内容でなければならず、それを自らの手で発見しなければなりません。
本気で研究を始めてみると、この「“自分が出来得る範囲での”新発見」というものの難しさが分かると思います。
そもそもそれは本当に未発見の研究なのか?
それをその手法で証明できるのか?
その手法は自分に扱えるのか?機器はあるのか?
研究資金は大丈夫か?
研究計画は適切に立てられているか?
こういったことを一つずつクリアしていかねばならない。
そう、、、博士号を取るのは、思っている以上に厳しいのです!
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ただし、今まで研究にほぼ触れてこなかった人間が、いきなり院に入れば優れた研究者になるわけがありませんよね。
私も研究について、ま~ったく右も左も分かっていませんでした。
研修医の頃に論文は読んでも、自分がそれを書くなんて、まして書くために実際に計画を立てて遂行するなんてできるのか…?
不安しかなかったですね。
なので、私は指導教官からしっかりと研究のイロハを教えてもらいながら一つずつ学んでいきました。
研究のやり方や考え方
統計処理の方法
論文の書き方
などなど、、、法医学知識だけでなく、そうやって“研究者”として学ぶことも院生の大事な時期なのです!
だからこそ院生の間は、バイトもしつつ学費を払っていたわけなのでッ!!笑
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そして、この院生の間で得たリサーチマインドが、その後の法医学者にも生きてきます。
逆を言えば、ここでテキトーに研究して、学位を取ってしまうと、後々後悔してしまうことになりかねません。
法医学者は原則教員として働くことになるので、臨床医とは違い、「臨床(※法医学の場合は“解剖”)だけやっていてもよい」というものではありません。
やはり日々研究を続けることが方々から求められます。
なので、研究者としてのスタートである“大学院生”の頃にきちんと「研究を学ぶ」必要あるのですよーッ!!
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新しく院生さんになられた皆さんにはもちろん頑張っていただきたいですし、
これから院生になろうとしている人には、そういう観点から法医学教室を見る必要もあるかと思いますね。