法医研究のタネ

病院の所属となる臨床医に比べると、大学の所属となる法医学者はより研究の比重は大きくなります。

要は「法医学者は臨床医以上に研究も頑張る必要がある」ということですね。

しかし、「研究を頑張りましょう」なんて言われても、そんなに簡単に始められるものではありません。

計画を立てて、準備をして、倫理審査を通して、、、

やっと開始しても、すぐに終わる研究ばかりではなく、何ヶ月もラボに出入りし続ける日々を過ごすことも少なくありません。

そして、そうやって出てきた結果は、必ずしも思い描いていたものとは違う結果であることもザラにあります。。

ここが研究の難しさだったりします。

さて、とはいえ、『研究テーマを決めること』がまず初めの大きな第一歩です。

むしろここで失敗すると、その後の研究は当然残念な結果に繋がってしまいます。

では、研究テーマってどう決めるのか?

最も簡単なのは「教室の先生がすでに始めているテーマを派生させる」という方法です。

いきなり若手法医学者(や院生)が優れた研究テーマを見つけるのは難しいですよね…。

しかし、いくら人手不足な法医学教室とは言っても、1人は教室の中で研究をしているはずです。

なので、その先生のテーマから枝分かれさせたプチテーマを設定し、研究を進めるのです!

「指導教官の研究テーマをそのまま貰っちゃう」なんてことも考えたくなりますが、、、

研究というのはその研究者の“汗と涙の結晶”ですからね。

そんな易々と「先生のテーマを下さい!」なんて言わない方が私は良いと思いますよ。(指導教官側から言ってきてくれたら、この限りではありませんが笑)

もちろん、自分で既に研究したいテーマがあるのなら、それを設定して良いか相談してみるのは全然アリでしょう。

ただ「やりたいこと」と「やれること」は違います。

「やりたいこと」は決まっていても、膨大な労力や費用、時間が必要なものは研究不可の可能性もあります。

なので、自分が見つけた研究テーマを進めたい場合は、

その法医学教室で実施し得る研究か?

というのは十分検討する必要がありますよ!

その他、「新たに研究テーマを見つけ出したいんだ!」という人もいるかも知れません。

いやむしろ「研究したいけど、テーマが見つからない…」という消極的理由の人の方が多いかも知れませんね。笑

この場合、どうするか?

臨床医学でよく言われるのが、

実務の中で出てきた疑問を解決できるような研究テーマを設定する

というものです。

臨床医学をやっていると、病気の診断や治療で上手くいかないことがしょっちゅうあります。

そこでの疑問や課題を研究テーマにしちゃうわけですね!

法医学では法医実務、つまり“死因究明”や“鑑定”の上で感じた疑問や課題を研究テーマにするのですね。

正直、法医実務で悩むことなんて毎日ですから、そういう意味では研究テーマの宝庫ですよ。笑

若手の頃は自分で執刀したり鑑定することは少ないでしょうから、指導医の先生の“ぼやき”にしっかりと聞き耳を立てましょう。

そういった実務から生まれた研究からスタートして、その分野の権威になった法医学者の先生もたくさんいますからねーッ!!

ただ、ここでもやはり新たに研究を立ち上げることになるので、その研究の実施可能性はきちんと検討しなければなりません。

新しく研究を始める場合は、「実際に行えるか?」は常に念頭に置いておく必要がありますね。

さて、そんな風にして、自分が進める研究を決めていく、、、これが法医研究の第一歩となるのですッ!!

そして、この先長い良い研究ライフをお送りくださいませー。

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