法医学者への100の質問 21〜30番目

第3弾になります。

今回でちょうど法医学全般に関する質問は終わりです。

ちなみにこのプロフィール画像もAIに作ってもらいました。

イメージ像は【白衣を着たダフトパンク】です!笑

【法医学者への100の質問】

法医学に関する質問(続き2)

21. 法医学者としてストレスをどう解消していますか?

法医学ブログ
法医学ブログ

「喫茶店でゆったりする」「友達と会食する」「動物園に行く」「家族と一緒に過ごす」あたりでしょうか。

ただし、法医学者としての悩み(仕事関係)は、自分で努力して乗り越えるしかないので、逃げずにただひたすら向き合うのみですッ!!

言っても、臨床医の頃に比べると、かなり時間的に余裕は出来ました。

なので、年はとりましたが、身体的疲労は自体はあまり感じないですよ。

精神的な疲労というのは、法医学者になってもあまり変わらないので(むしろ悩むことは増えた?)、

法医学者にとって、リラックスする時間は重要です!

私は喫茶店でぼーっとするのが大好きなので、どやマッカーを押しのけて、しょっちゅう某コーヒーチェーン店に行ってます。笑

その他、やはり友達や知り合いの法医学者と会食・飲み会を企画して、ストレス発散してます。

動物が大好きなので、子どもといろんな動物園に行くのも楽しいですし、それを含め、一旦仕事のことは忘れて家族で過ごすことはリフレッシュになりますねー。

しかし、どんなにリフレッシュしても、仕事の悩みは仕事をやり切ることでしか解決できないので、きちんとリフレッシュした後には、猛烈に机に向かいます!

22. 法医学の技術は今後どう進化していくと思いますか?

法医学ブログ
法医学ブログ

法医学分野でも、AI導入や機械化は進んでいくのでしょうね。

特に性別鑑定や身元特定の分野では、現時点でもどんどん発展してきています。

人工知能の発達は目覚ましく、その影響は法医学分野も例外ではありません。

特に昨今、論文掲載されるもので多いのが「白骨から性別を推定する」という“性別鑑定”の技術です。

やっていることは、今までは(一応データ的な指標はあるにしても)最終的に法医学者が主観的に「男っぽい/女っぽい」という判断をしていましたが、それをAIにやらせちゃうわけですね。

膨大な白骨CTのデータをAIに勉強させ、男女の差を見つけ出し、そこで導き出された基準を、次は未知の白骨に当てはめ、男性か?女性か?を推定させるわけです。

それ以外にも、DNA型鑑定で「○○%の確率で親子関係を肯定」みたいなのも、最終的にはAIにある程度やらせることも可能になってきています。

どの技術も最終的に法医学者の判断が必須とはなりますが、現場の負担は大分減るでしょう。

一方で、解剖などの実際に手を動かす領域に関しては、まだまだ現実的ではないでしょう。(例えば、ボタンを押せば、機械が勝手に解剖を進めてくれるなど)

ただ解剖以外の、今現在技師さんが頑張ってくれている検査(例えばプレパラートの作成や薬毒物分析など)は、もう更に少し技術が発達し、法医学にお金があれば、全てをオートメーション化できる気がしますね!

23. 犯罪捜査で最も大事な証拠は何だと思いますか?

法医学ブログ
法医学ブログ

それは警察の人たちが考えることであって、我々法医学者ではないです。

法医学者は、死因や死亡推定時刻を含む鑑定嘱託事項を真摯に調べるのみです!

よくある勘違いが、【法医学者=犯罪捜査員】というイメージです。

法医学者は医療人であって、捜査員ではありません。

我々は法医学者として、「これこれを調べてください」と列挙された“鑑定嘱託事項”に沿って、解剖し、鑑定書を作成します。

「それをどう使うのか?」「どのように証拠として提示するのか?」等、そこは検察や警察の領分です。

もちろん、例えば“死因”が法廷で大きな争点になっている場合などでは、解剖所見に加え、それを科学的・医学的に正しく判断することが大事になってくるかと思います!

24. 一番多く鑑定する死因は?

法医学ブログ
法医学ブログ

我々が解剖するのは、やはり外因死で亡くなったご遺体が多いです。

しかし、近年は死因不詳→病死(特に虚血性心疾患)というパターンもかなり増えています。

やはり警察が持ってくるご遺体で多いのは、外因死(外傷死など)です。

犯罪の可能性があるからですね。

しかし、近年は「死因がわからない」という状況下で解剖が依頼されるパターンも増えており、この場合はやはり病死が多いです。

病死の死因で多いのは、【虚血性心疾患】(=心臓の血管が動脈硬化によって狭くなってしまい心筋虚血が起こる)ですね。

近年は、犯罪見逃し防止がより強く叫ばれる世の中ですから、警察も明らかな外因死だけでなく、死因のわからない変死についても積極的に解剖を依頼してきます。

これが解剖数の増加、ならびに法医学者の負担増加に繫がっている気がします…。

25. 新しい法医学の技術に興味はありますか?

法医学ブログ
法医学ブログ

もちろんあります!法医学者が楽になる技術は個人的に全力でウェルカムです。笑

ただ新しい技術というものは未知な部分も多々ありますから、実際の実務で導入する際は、慎重になる必要があります。

先ほども回答した、AIや機械化などの、法医学者の負担が軽減されるような技術は今すぐにでも導入してほしいくらい興味があります!

もはや私は、書類をPCで打ち込むことですらめんどくさいですから。笑

そういう単純な技術はどんどん導入してほしいですが、、、

やはりもっとハイレベルな技術に関しては、画期的な進歩となり得る可能性がある一方で、

かつてのDNA型鑑定(袴田事件など)のことも考えると、開発当初はやはり「その新技術の限界や特性」なども未知なことが多いですから、実際の導入の際には十分注意が必要だと思いますね。

それでも、より科学的・客観的な判断を可能とする新技術は、今後も開発しなければなりませんし、法医学者もその努力は怠ってはいけません。

26. 解剖中に予期しなかった発見をしたことはありますか?

法医学ブログ
法医学ブログ

むしろ、そういう経験はよくありますよ!

  • 外見上は何もないのに、解剖したら出血が広がっていた
  • 診療情報にはない病気が発覚した
  • 現場には何もなかったのに、薬毒物分析で致死量の薬物が判明した(※解剖後)

外表検査だけでなく、解剖まで実施する必要性を日々感じますね。

解剖前には、ある程度警察医の先生や検視官が外表を見ているわけですが、

外表からなかなか分からない所見も割と多いのが実際だと思います。

上記に挙げたような、【未知の外傷や病気】、解剖後ですが【薬物の検出】などは実際ちょこちょこありますよ。

最近は死後CTが広がってきましたが、それも粗大な骨折や出血などは分かることも多いですが、死後変化が高度だと分かりにくくなりますし、微細なものは判定困難です。

また、当然薬物は検出不可能ですよね。

仮に粗大な骨折や出血がCTで判明した場合も、結局解剖が必要となることが殆どなので、、、やっぱり解剖まできちんとすることが必須だと個人的には感じます。

27. 法医学者としてのキャリアのピークはいつだと思いますか?

法医学ブログ
法医学ブログ

年齢で言えば、40歳代でしょうか。

法医学では、一般的にこの年代で教授になることが増えています!

早ければ30代後半で教授になることも…。

法医学は、『若くして教授になれること』が一部では有名です。(それだけ人手不足であることの裏返しではあるのですが…)

実際に近年は、40〜50代で教授に就任される先生が一般的になってきています。

なり手不足が深刻化した最近では、もう30代後半から教授になっちゃう先生もいらっしゃいますね!

私ならそんな責任の重い立場は…なので、すごく尊敬です。

こうやって上層部に発言できる若い先生が増えて、業界が変わっていけると良いですよねッ!!

28. 法医学の世界で最も尊敬する人物は誰ですか?

法医学ブログ
法医学ブログ

学部生の頃からずっと良くしてくれている【母校の法医学教授】です!

この先生がいなければ、今の私はないですからね! 一生感謝し続けるますッ!!

学部生のあの時、もし法医学教室の人達に邪険にされていたら、、、今頃私は普通に臨床医をしていたことでしょうね。笑

だからこそ、私も今法医学教室にやってくる学部生の方々にはすごくウェルカムに接しているつもりですし、

法医学に関する悩みは何でも聞いてあげたい!という気持ちで居られてます。

29. 解剖で一番難しいことは何ですか?

法医学ブログ
法医学ブログ

やっぱり「教科書に載っていない例外ばかり」なことですかね。

繰り返しになって恐縮ですが。

教科書に載ってあることを舐め回すだけで良いならどんなに楽なことか…。

教科書に載っていることが“思考の種”になることはあるんですけど、法医学者は、そこから自分で考えて考察を進めていかなければなりません。

なので、先ほどの話も絡めますと、「やっぱりこのあたりの思考労働関係はなかなかAI化とかは難しいんだろうなぁ」と思ったりします。

30. 法医学の現場でのチームワークについてどう思いますか?

法医学ブログ
法医学ブログ

解剖や検査自体は、助手さんや技師さんなどに大いに助けてもらっています!

ただ、最終的には全て自分で考えて書類に落とし込む必要があるので、、、結構孤独でもあります。

死因究明は、決して一人ではできません。

解剖するにしても、各種検査をするにしても、多くのスタッフに支えてもらいながら進めていきます。

ですので、そういったチームワーク力というのが、法医学教室には必須となります。

これらを一人でやろうなんて思っていけないのです!協働作業です!!

しかし、そうやって出てきた結果やデータを、解釈・考察して書類を作成するのは、法医学者自身です。

執刀医として引き受けた以上、他の法医学者にバトンタッチすることは許されません。

この点においては、正直孤独感があります。

私自身は、この過程こそが死因究明・法医学のキモだと私は思っているので、そこに孤独感を感じるとなると、『法医学者はむしろ孤独な存在である』とも言えると思います。

ということで、30番目までの質問回答でした。

今回で法医学に直接関係するような質問は終わりです。

次からプライベートな質問が続きます。

誰が興味を持つのか?は置いておいて、100番目まで突っ走りたいと思います!笑

タイトルとURLをコピーしました