法医学者の2024年振り返り

ブログを書き始めてもう大分経ちますが、そう言えば、1年の振り返りみたいな記事を書いたことがありませんでした。

こちらのブログは“ざっくばらん”が売りのブログなので、こちらにツラツラと今年の反省や思い出を振り返りたいです。

今年の大きな出来事としては、

  • 能登半島地震
  • 物価上昇
  • 政治/選挙の変化

が私のイメージとしてはあります。

特に能登半島地震の被災者におかれましては、未だその被害に苦しんでおられる方も多くいらっしゃるとのこと、心よりお見舞い申し上げます。

法医学に関しては、【法医学者の大量定年退職問題】のニュースは、インパクトがありましたよね。

大学の法医学教室で犯罪が疑われる遺体を司法解剖する解剖医の確保が課題となっている。2030年までに全国で教授24人が定年退職となる大量退職期を迎えるためだ。法医学教室の解剖医が1人の地域は14県、不在の地域も1県あり、解剖医不足の深刻化を懸念する声も出ている。

読売オンライン;死因究明の解剖医が足りない…法医学教室の教授の大量定年退職、2030年までに全国で24人

法医学者の仲間内では、ずっーと前から「そろそろ(大量定年が)来るよね…」という話は度々出ていました。

なので、法医学界としては、このような状況になることは予想していたわけです。

にも関わらずこの状況とは…。

問題は法医学者不足なわけですが、この問題に関して更に言うと、

「とにかく教授になれる人材が足りていない」

根底には↑これがあります。

このニュースを見て、多少なりとも国民にも問題意識を持ってもらえるとありがたいですが、、、

残念ながら、優秀な人材は一年二年で増えるものではありません。

そもそものベースとなる若手法医学者が未だ少ない状況ですから、

実務上の問題(例えば、“解剖受付の停止”や“解剖実施の困難”など)が顕在化するのはこれからです。

今後に不安しかありません。

個人的にはもっと“炎上”してほしかったです。。

その他、法医学関連で言えば、

  • エチレングリコール中毒
  • ヒートショック

この2つについては、おそらく国民の皆さんにも、その存在が広く知られたと思います。

東京都台東区の夫妻が親族3人に不凍液などを飲ませて殺害したとして逮捕された事件で、警視庁は22日、夫の母親への殺人容疑で夫妻を再逮捕し、発表した。2人の逮捕は4回目。

朝日新聞デジタル;不凍液連続殺人、4人目の殺害容疑で夫婦を再逮捕 被害者は夫の母親

この一件では、解剖だけではなく薬毒物分析の重要性が改めて確認されました。

当初、行政解剖のみでは指摘し得なかったからです。

『解剖だけやっていたら良いわけでは決してない』

これは、法医学者全員が肝に銘じるべきです。

「寒気が流れ込んだ影響で、関東地方にもようやく冬らしい寒さがやってきた。湯船がここちよい季節でもあるが、入浴時の事故が急増するシーズンでもある。急激な血圧の変動で意識障害や脳卒中などを引き起こす「ヒートショック」に、細心の注意が必要となる。」

ヒートショック、、、この報道が出てから、私自身もよく尋ねられるようになりました。

しかし、法医学会も言っていますが、浴槽内死亡事例については、その原因や予防法について統一した見解が得られていません。

浴槽内死亡の解剖事例をまとめた法医学の調査では、上記のように、病死と判断されるケースが全体の39%、不慮の外因が35%と、かなりバラツキがあります。

これは「別の病態が存在しているのか?」「判断する法医学者による記載法の違いなのか?」ははっきりわかりません。

それくらい、まだまだ分からないことばかりです。

それでも冬に浴槽内死亡が多いことは間違いのない事実であり、是非皆様もご注意ください。

さて、今年のことを書くのなら、来年のことも書くべきなのでしょうが、、、来年のことはまだ未定です。

先日こんな記事も書いたのですが、結構ゴタゴタしており…。

やっぱりうちも人手不足なのには違いありませんしね。

色々と計画を立てて動かねばなりません。

来年は心機一転、明るい年になってほしいですね!

法医学ブログ
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良いお年をお過ごしください!
来年もよろしくお願いいたしますッ!!

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