臨床医との飲み会

先日、久しぶりに研修医の頃の同期である友達と飲みに行ってきました。

この数年間で、社会だけではなく、我々の環境も大きく変わっていましたねー。

職場が変わり、
立場が変わり、
家庭が変わり…

話が進むにつれて、自分たちも歳を取ってきたことを実感しましたよ。笑

これは医師の飲み会あるあるだと思うのですが、

「先日こんな難しい手術を〜」なんて意識高い話なんて皆無です。笑

医師が集まったら、必ず“お金”の話になるんです。

やれ「前行った割の良いバイトはどうだった」とか、

「今の職場は給料は安いくせに、雑用仕事ばかりだ」とか、

「iDeCoは〜」「NISAは〜」「投資が〜」…。

話の8割はお金にまつわる話でしょうか。笑(←私達だけですかね)

ですが、私はお金のある臨床医なんかではなく、法医学者です。。

そんな小金持ちにすらなれない、一大学スタッフでしかありません…。

「今の職場の給料は○○円でさぁ〜」

って、目の前で悲しまれても、『いや、、、私もっとお給料低いんだけど…』ってなります。

ただ、友人2人は、お家が開業医をしている医師家系の末裔なので、

一般の臨床医の中でも、おそらく財産レベルが一つ高い位置にいる気はしますが。。

新婚旅行は当然海外で、家を新築で建てて、庭にはプールがあって…。

もはや嫉妬などを通り超して、(←ウソ)

『ほぇ〜すごい世界もあるもんだ』

みたいに感じますね!笑

当然会話はキャッチボールなので、私自身の今の状況も話すわけですが、

やはり彼らからすると「(医者なのに)あり得ない!」ということらしいですからね…。

「解剖は大変である」ということは理解してくれているらしいですが、

低いお給料だけでなく「毎日のように解剖があること」や「傷んだご遺体を解剖しなければならないこと」などは、どうやら強い同情を買ってしまうようです。

そんな同情の声を聞くと、『法医学者って医師の中ではやっぱり“あり得ない”環境なのかなぁ…』と、少し別の悲しみが沸いてきました。。

ま、世の中お金だけではありませんし、法医学にも“あり得る”環境はたくさんあるんですけどね。

ただ確かに医師の大多数である臨床医が、法医学を「あり得ない!」と感じてしまう現状のままでは、

この先、法医学に多くの人材が集まることは決してないなと強く確信しましたね。

私のように、このまま法医学の「あり得ない!」を理解した上で、それを受け入れつつ法医学を続けられるごく僅かな人達で、時に愚痴をこぼしながら頑張っていくしかないのでしょう…。

そんなことを帰り道で感じた飲み会でした。

取り繕うと余計勘違いされそうですが、今回の2人は本当に良い友達なんですよー?

法医学に行っても変わらず付き合いをしてくれますし、法医学の話をしても興味を持って聞いてくれます。(そして時には同情もしてくれる笑)

今度また一緒に旅行でも行ってこようかと思っているくらいです。

法医学者同士で飲み会をすることももちろんあるのですが、

そのような場って、どうしても「今ある“法医学の問題点”」を知らず知らず受け入れた前提で会話が進んでしまうんですよね…。

これは少し問題だと私は感じてます。。

「給料が安い」や「解剖が多い」なんてことは、法医学者にとっては至って“当たり前”なんですよね。

なので、今更それを「おかしいよね」「大変だね」だなんてわざわざ口に出す法医学者はいません。

みんな心のどこかで「仕方ないよね」と呟きつつも、別の話題に移っていきます。

その点、臨床医の友達とでは、そういった不満を親身に聞いていくれた上で『やっぱりおかしいんだ』と再確認できますし、自分の置かれた環境を見つめ直すことができます。

こうやって法医学者自身も外に出て、法医学以外のいろんな人と会話することは重要なんだろうなと、最近は特に強く感じていますッ!!

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