室蘭市の自宅に遺体を放置したとして、16日夜、△△歳の容疑者が死体遺棄の疑いで逮捕されました。この家に住む容疑者の80代の母親の行方が分からなくなっていることから、警察は、遺体は母親の可能性があるとみて身元の確認を進めるとともに、詳しいいきさつを調べています。
逮捕されたのは、××に住む無職、○○容疑者で、自宅のアパートに年齢や性別が不明の遺体を放置したとして死体遺棄の疑いが持たれています。
警察によりますと、16日午後、容疑者が住むアパートの管理会社から「付近の住民から電気がついていないと連絡があった」と通報があり、警察官が現場を調べたところソファーで毛布がかけられ腐敗が進んだ状態の遺体を発見したということです。
警察の調べに対し、○○容疑者は容疑を認めているということです。
警察は、容疑者と2人でこの家に住む80代の母親の行方が分からなくなっていることから、遺体は母親の可能性があるとみて身元の確認を進めるとともに、詳しいいきさつを調べています。※当サイトで一部表記を変更しています
北海道 NHK WEB – https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20231017/7000061710.html
近年「亡くなった親のご遺体をそのまま放置したことで、死体遺棄容疑で逮捕される」というニュースが多くなった気がしますね。。
ネットを見ると「親の年金を止められるのが嫌だったからだ」なんてコメントも見られますが、実際のところは放置に至った本人にしか分かりません…。
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私も法医学者という仕事をしているからこそ、多少死後の流れは理解していますが、
そうでなければ「どうだろう?」と思うことがあります。
「そんなのすぐ救急車を呼んだらいいじゃん!」
そう思う人も多くいるとは思いますが、、、
例えば、引きこもりがちで、普段その親とくらいしか会話していなかったら…
逆に親との関係は希薄で、亡くなってしばらく経って、傷んでいる親のご遺体を発見したら…
目の前の状況に動転して、「どうすればよいのか…」とパニックになる/途方に暮れる可能性もゼロではありません。
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私も普段ご遺族とお話する機会がありますが、
身内が亡くなっているのを発見して、きちんと届け出たご遺族であっても「最初はすごくパニックでした」という声を多く聞きます。
そして、「パニックだったから、すぐに他の家族や仲の良い知り合いに連絡してやっと〜」みたいな話も全然ありますからね。。
近年は、頼れる人が身近にいなかったりして、急な出来事でパニックになった際、途方に暮れてしまう人もいるのかな…と思ったりします。
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ちなみに、意識不明の方を発見したら、まず救急に連絡してください!
亡くなっていそうに見えても、救急を呼んで大丈夫です。
到着した救急隊が搬送の適否を判断してくれます。
もちろん高度に腐敗している等、素人目から見て明らかに「亡くなっている」という場合は、“救急”でなく“警察”に通報することもあり得なくはないですが、
少しでも迷う場合・不安な場合は救急を呼んで良いです。
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さて、“死体遺棄容疑”であっても、法医学は重要な役割を果たします。
それが単なる“死体遺棄”ではなく“殺人”の可能性もあるからです。
もし当該女性が病気で亡くなり(つまり“病死”)、そのご遺体をそのまま“遺棄”した場合は死体遺棄罪となります。
ちなみに細かい話ですが、ここでの“遺棄”は単に「ご遺体を放置すること」というだけでなく、「習俗上の埋葬等とは認められない態様で死体等を放棄し又は隠匿する行為」と言われています。
一方で、当該女性の命を奪った(←外因死)後にご遺体を遺棄した場合は、当然殺人罪に問われる可能性が出てきます。
だからこそ、きちんと解剖・死因究明を行って死因(病死なのか?外因死なのか?)を特定することが重要になってくるわけですね。
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ただ他のニュースによると、↑の事例は「腐敗が進行して一部は白骨化しており、司法解剖の結果、死因は不詳」ということなので、もしかすると法医学が言えることは限られているのかも知れません。。
現場や周辺の状況、当人達の生活実態、家族関係など、様々な周辺情報を加味して考えることになってくるのでしょう…。