大地震が来た時に法医学は…

「大地震が来たら、法医学はどうなるんだろう…?」

そんなことを考えることがあります。

ガス・水道・電気は止まって、、、臨床ではそれに対応するための訓練が事前に行われたりしますよね。

しかし、法医学ではなかなかそういう機会はありません。。

かつて震災が起こった時も、その地域の医師会の先生方を中心に、その際に要請を受けた法医学者が逐次出動し、検案業務を支えるといった感じで、

「かねてから訓練していた成果を今!」のような印象ではありませんでした。

さて、では事前にイメージするなら、どんなことが想定できるのでしょうか?

多くの電子機器を使う臨床現場とは違い、法医学は割とアナログで済むことも多いかも知れません。

検案は試料採取のための道具さえあれば、あとは最悪“身ひとつ”でいけます。

死後画像を取ろうと思えば、イメージング機器とその電源が必要ですかね。

解剖も基本的にアナログで何とかできそうです。

ストライカー(骨を断つ機器)も、それがなければ重労働にはなりますが、手作業で骨を切ることも不可能ではありません。

あとは解剖する場所さえ確保できればなんとかなりそうですね。

ただし、唯一私が困ると思ったのが、、、“保冷装置”です。

死後ご遺体はどんどん腐敗してしまうので、それを食い止めるために、ご遺体を涼しい場所に保管しておく必要があります。

また採取したサンプルについても、物によっては冷蔵ないし冷凍保存する必要があります。

平時では、電気駆動のモルグやサンプル保冷庫を使用しています。

それも地震で電気がストップしてしまったら使用することはできません。。

冬だったらまだいいですが、夏はかなりの影響を受けてしまいそう…。

サンプルは小型なんでなんとかなりそうですが、ご遺体は比較的大型の設備が必要になりますし、、、

そうなってくると、アナログ式な“ドライアイス”などを使うことになるのでしょうか。

「そもそも災害時にそんなドライアイスなんて大量に手に入るのかな?」とか、

「最近ニュースになった、CO2中毒の問題も気をつけなければならないな」なんて思ったりもします。

もしかすると、↓みたいな冷蔵車が活用されたりもするかも知れません。

災害時はどうしても“身元特定”が最優先になってしまいますが、

それでも災害時でもより正確に“死因究明”しようと思えば、時間との勝負になってきます。

そのためには、法医学者自身が事前にイメージして、有事にフットワーク軽く動けるようにしておくことと、

必要になりそうなものをリストアップしておくことはすごく重要だと思います。

この先いつか来る南海トラフや首都直下型地震に備えるためにも、我々法医学者もそういった心積もりは必要だと思いますッ!!

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