私が法医学を選んだ理由

い、いかんー!! ブログの更新が滞っている。

その理由は単純明快、法医学のネタ切れだからです。笑
真面目な法医学ネタは粗方書き尽くしてしまい、最近はすっかり読書感想文ブログと化していました。

そこで今回は、私の個人が日々感じることや、私から見た法医学の魅力を書いていこうと思います。

これまで、「私なんか…」という気持ちから、意識的に自分語りは避けていたんですよね。
しかし、最近はXでもそこそこ反応を頂けるくらいには認知度が高まりつつあるので、ここで少し自分語りをばとの想いです。

さて、こんなポストをしました。

【法医学の楽しさ】についてです。
法医学の魅力…なかなか法医学に足を踏み入れたことがなければ理解しづらいところでしょう。

幾度となく、法医学者になった理由は小出しにしてきたのですが、ここでズバッとそこを書き記したいと思います!

何となく目指した医学部の道

学生の頃、高校の理系コースだった私は、何故か医学部を目指すようになります。
これは今考えてもそんなに大した理由ではなかったと思います。

元々は獣医志望したこともありましたが、身近に獣医さんなんておらず、かといって幸いお医者さんにお世話になるほど身体は病弱でもありませんでした。
結局、特にやりたいこともなく、嫌いでもなかった勉強の延長線として、医学部を目指すようになったというのが正直なところです。(高校の模試にも“とりあえず”でも志望校/学部を書く必要があったので)

謎の度胸で叩く法医学教室の門

で、実際に医学部に入学するわけですが、当初は法医学なんて眼中にありません。
部活に精を出して、教養を学ぶ低学年の頃は、定期テストの合格だけを目指した、勉学をそつなくこなす日々でした。

徐々に学年が上がるにつれ、基礎医学を初めとする医学の勉強が始まってきました。
ですが、、、正直ね、基礎医学ではあまり興味が出ませんでした。(基礎医学の先生、すみません!)
こう、どこか自分の身に感じないというか、別世界の話に感じてしまったんですよね。

解剖実習も経験させていただきましたが、いきなりご遺体を目の前にして、グングン勉強を進められるほど私はデキた学生ではなかったので、ご遺体に失礼にならないよう、優秀な友人達についてまわり、解剖学を何とかやり過ごすことしかできませんでした…。

当時は「そつなくこなす」を日々実践していた淡泊な私だったのですが、一方で「どこか他の人とは違う“何か”を経験したい!」という気持ちはあったのかも知れません。

そうした中、何かの拍子に、法医学教室で解剖見学を受け付けていることを知りました。

「解剖実習は大人数だけど、法医解剖ならもっと少人数なのではないか?」

そう思った私は、早速法医学教室に問い合わせてみました。
まだ法医学の座学も受けていなかったのに、です。笑

この時に爆発した謎のやる気と度胸が、全ての始まりでしたねー。

自分に合っているような気がした法医学

若干のドキドキを抱えながら連絡を送ったものの、直後に「それではどうぞ、来てください」みたいなあっさり返事が来て驚きましたよ。

それで、初めての解剖見学に行ったわけですが、これも正直あまり覚えていません。。
「緊張していたから…」と感想で逃げたいところなのですが、、、それでは嘘になってしまいます。

解剖見学は大学でも年に数人程度。当日は当然のように見学者は私だけでしたが、むしろ緊張なんて殆ど感じることなく、自分はどこか平常心でいることができたんです。
大人数での解剖実習では圧倒されるばかりだったのに、法医解剖では不思議と冷静でした。
目の前の解剖に感情的になるのでもなく、死因究明の対象として自然体で向き合っている自分がいたのです。

この「違和感のなさ」こそが、何となく「自分に合っている」ような気がした本質だったのかもしれません。

そして、解剖そのもの以上に私を惹きつけたのが、法医学教室の教授や先生方・スタッフの方々の“フレンドリーさ”でした。
逆にこの居心地の良さが無ければ法医学には決して進まなかったでしょうし、今振り返っても最大の決め手だったと思います!

解剖終了後には、教授が教室で解剖結果の説明をしてくれました。
それは今まで単に知識で終わっていた情報が、生きた知識に変わる瞬間でした。
そういう経験は、学生生活の中で殆ど感じたことはなく、かなり衝撃的でしたね。

飽き性の私が続いたこと

そこから、私は頻繁に解剖見学を繰り返すようになりました。
下手をすると、「変な子が教室に出入りするようになったぞ、おい…」と思われかねない状況でしたが、教室の皆さんはいつも変わらずに受け入れてくれたのは感謝です。

そんな恩義を受けておきながら、医学生半ばの頃になっても、将来の道としての法医学はあまり頭にありませんでした。
むしろ臨床医学の勉強が始まって「外科かっけー!」や「内科医えぇやん!」みたいに思っていました。

しかし、「何事も続かない」のが私の一番駄目なところでして、たった数週間の診療科実習にも関わらず、そこでその科への熱意が鎮火してしまうのです…。

とは言え、「具体的な診療科なんて、研修医の間に決めれば良いや」と思っていたので、そこまで深刻に悩むことなんてなく、日々充実した学生生活を送っていました。

まだまだ法医学を決めきらず

医学生も高学年になると、ちらほらと、周りの友人たちが研修を行う病院の選定を始めます。
私も近くの病院の情報を集め始めましたが、その頃もまだ解剖見学は続けていました。

ある日「この解剖見学も、研修医が始まるとできなくなるのか」と気づいたんです、、、が!

それでも「じゃあ、法医学に行こう!」とは思わなかったのが私。笑
当時でもまだ「まぁ、それまでは見学を続けるか」くらいに思っていましたね。

この意識が変わったのが、何と研修先病院が決定した後でした。
普段通り解剖見学をして、解剖が終わった後に法医学教室の先生と話している中で、ふと頭をよぎったのです。

「ここまで続けてこられた法医学(=解剖見学)は、やはり自分に合っているのでは? ここで終わらすのは勿体ないのでは!?」

でも、研修病院が決まったばかりですし、何ならその日にマッチングしたことを笑顔で報告したくらいですからね。
結局在学中、法医学の教授には、進路について一度も相談はしなかった気がします。
おそらく教授も、私は普通に臨床に進んでいくものだろうと思っていたでしょう。

そしてやっと法医学の扉を叩いた

当初の予定通り、解剖見学は本当に国家試験終了後のギリギリまで行っていました。
何なら国試の合格も教室の皆さんにご報告して、解剖見学最終日にもご挨拶をして…。
、、、と人並みのお別れはきちんとしたんです。

臨床研修開始後はもちろん真面目に臨床医していました。
解剖見学はもうできません。しかし、それでも法医学の先生方とはちょこちょことメールのやり取りや、お食事などをご一緒していました。
休みを取って、法医学会の全国総会などにも参加したりしましたね。懐かしい。

法医学に進むことになった一番の決定打は、この「法医学が遠くに感じなかったこと」だと思います。
臨床研修も私なりに真面目にやっていたのですが、やっぱりどこか法医学の方に惹かれる気持ちがあったのでしょうな。
目の前の患者さんを救う日々にやりがいを感じつつも、それがどこか気持ち的に慣れてしまいそうな不安感を抱える中、法医学独特の「生きた知識の総動員」を懐かしく思う機会が増えていました。

そんな法医学を、先生方との繋がりが常に「身近なもの」にしてくれていた。
これこそが、私が法医学から離れなかった一番の理由です。

やっぱり研修を経て、身も心も離れてしまうと、なかなか戻ることは難しいですからねー。

そんな経緯で、臨床研修の終わりが見え始めた頃に、私は法医学教室に「大学院に進みたい」旨を伝え、無事に院試に合格し、法医学者としての道を歩み始めたのであった…!

このようにして、何事も続かない性分の私が、徐々に変化しながら法医学へ歩を進めたのです。

これが、私が法医学者となった理由です。
正確には“〜院生まで”なので、まだ法医学者ではないのですが、もう院に入る時点で、ある程度「法医学者になるんだ!」という気持ちがあったので、このタイトルにしました。笑

今回は長くなってしまったので、一旦記事は前半としてここで終わります。
次回の記事では「院生〜本当に法医学者になるまで」と【法医学の魅力】について後半を書きたいと思います。

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