寝当直

皆さんが思っている以上に法医学者は薄給です。

法医学者は“大学教員”であり、「大学病院の医師」とは給与体系が全く違います。

つまり、そこにおいては、何ら医師であることの恩恵は受けられないのです…。

、、、しかし!

医師免許があることで”臨床医”としてのアルバイトはできるのですッ!

一般的なアルバイトとしては、やはり高給なので、これはすごく助かります。。

まさに「芸は身を助ける」ですねー。

研修医を終えてすぐは「まだまだ臨床でもバリバリやってやるぞ!」という想いもありましたし、当初は夜間の救急外来もやったりしました。

夜に救急車で運ばれてきた患者さんの治療をするわけですね。

当時は当直医らしく、挿管とかCV挿入、ギプス固定などもきちんとやってたんですよー!?

時には一睡もできずに夜が明け、家に帰ることなくそのまま大学に戻っていく…

そんな日も多々ありました。(今は医師の当直規制で不可能か!?)

その分お給料は結構良くて、それなりに充実感のある生活を送っていたんですが、、、

法医学教室の院生だった頃は「入れる解剖には全て入る!」くらい、ひたすら教室で行われる解剖に入り浸っていたので、

やっぱり肉体的に疲れてしまう救急外来のバイトは長続きしなかったですねー。

本分は法医学者(の卵としての院生)ですし、院生生活に支障の出るほどのアルバイトは必然的に身を引いていった感じです。

それでも、必死に働いていたあの頃は。今でもよい経験をさせてもらったなとしみじみ感じます。

で、結局最後まで長く続けたのが、いわゆる“寝当直”と呼ばれる、比較的落ち着いた病院での当直バイトでした。

当直では、夜間発熱したり、調子が悪くなった入院患者さんの対応をする“病棟業務”と、前述のような”救急外来業務”が主な業務業務です。

当時のバイト先は山奥にひっそりとたたずむ病院だったので、殆ど救急車もやってきませんでした。

とはいえ、どんなに落ち着いた病院であっても、入院患者さんがいる以上は、基本的に医師が病院に泊まり込まなければならないことになっているので、

「病院に泊まり込みに来たけど、実働業務はなかった」

という、文字通り“寝当直”だったこともザラにありましたよ。

そして、これは”法医学者の臨床アルバイトあるある”なんですが…

どこの病院にいっても、もの珍しがられます。笑

まぁ、、、珍しいですよね。。

大学病院でもびっくりされるのに、ましてや中小規模の市中病院にいたら、法医学関係者に出会うことなんてほぼあり得ないですから。

でも、別に臨床で有用なスキルを何か持っているわけではありませんし、ナースステーションやお酒の場で喜ばれるくらいですけどね。笑

でも、そのバイト先の院長先生も、法医学教室の院生である私に興味を持ってくれて、

時間や曜日の融通をすごく利かせてくれたのと、単純に居心地が良かったので、そこのバイトは最後まで長く続きましたね。

今でも当時の院長先生には年賀状を送ってます。笑

今思い返しても、臨床のアルバイトはすごく良い経験だったと思います。

法医学教室は狭い世界なので、単純に「新しい世界を知る/新しい出会いがある」というのも嬉しかったですねー。

今後法医学で路頭に迷うことがあれば、、、そっちの道に戻るのはありかも知れません。

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